ホーム > 未分類 > 春に想う

春に想う

2012 年 3 月 8 日

この季節になると祖母の言葉を思い出す。
祖母は桜の季節が近づくといつも、「今年も桜が見られるかしら。」と言っていた。そして、ある年、桜を見ずに死んだ。
西行は、「願はくば 花の下にて 春死なむ その如月の 望月のころ」と詠み、その願い通りに世を去ったと伝えられるが、花の季節を待たずに逝く者も多い。父が死んだ。
突然のことに言葉も出ない。父の死が私の脳裏を去ることはないだろう。
父は多く語る人でなかったから、不肖の息子を諭すときも、言葉少なに寂しげだった。そんな様子が、返って身に沁みた。
父が不肖の息子に最後に残したメッセージは、「死を忘れるな。(メメント・モリ)」であった。

カテゴリー: 未分類 タグ:
コメントは受け付けていません。